9月8日、関東に来襲した台風15号は約93万戸に深刻な停電(と断水)をもたらし、うち3分の2の約64万戸超が千葉県で起きた。しかも、1週間どころか10日過ぎても6万軒近くが停電のままであった。
半月以上も過ぎた25日、東京電力は「概ね復旧した」と発表したが、「停電が解消した」とされる地区で電気が点かない「隠れ停電」が100戸以上もあった。
千葉県に長期停電をもたらした大きな要因は電柱(約2000本)の倒壊であった。
昨年も同様に度重なる台風による送電線網の被災で停電が全国延べ1000万戸超に達したとされ、これは東日本大震災時の900万戸を大きく超える規模であった。
そこで思い出されるのが架空電線の地中埋設による無電柱化問題である。
無電柱化への動きと状況
第1次安倍内閣の首班辞任後、安倍晋三氏を代表発起人として、2009年に自公両党の議員117人が「美しい国:電柱の林を並木道に! 議員連盟」を発足させる。
1995年の阪神・淡路大震災では電柱の倒壊が救助や復旧の妨げになったが、議員連盟の発足時点では名称からも分かるように「景観」に重点があったようだ。
その後民主党の政権となり、議員連盟の活動は一時停止するが2012年の政権復帰で再開し、小池百合子議員が広報本部長に就く。
そして2016年12月に念願の「無電柱化の推進に関する法律」が成立。東日本大震災を経験し、景観に「防災」が加わる。
その半年前に小池氏は東京都知事になり、「見たこともない東京」の実現を知事選の公約に掲げるが、その一つに「都道の電柱ゼロ化」があった。