2019年1月に公開された文在寅政府の最初の国防白書には「北朝鮮は主敵」という言葉が削除され、韓国を威嚇するすべての勢力について敵と規定した。鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防長官は9月、韓国の国会で、「北朝鮮のミサイル挑発が敵対行為か」と問う野党議員の質問に対し、「そうだとすれば、私たちが(ミサイルを)試験・開発することはどう表現すればいいか」「直接的な挑発だとは表現できない」など、回答を避けして波紋を呼んだ。

 反面、竹島問題を巡って、日本政府を刺激する軍事行動に出て、緊張感を高めている。国軍の日の前も、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄直後の8月25~26日には、大々的は独島上陸訓練を実施し、日本を刺激した。

北朝鮮に配慮した「反日イベント」の翌日に北からミサイル1発

 文在寅政府のこのような親北反日政策は韓国人の世論にも多大な影響を与えている。9月28日に発表された週刊誌「時事ジャーナル」の世論調査によると、「現在、韓国にとって、日本のほうが北朝鮮よりも脅威的か」という質問に対し、韓国人の69.4%が「そう思う」と答えた。

 しかし、日本を主敵に想定した国軍の日イベントは北朝鮮から思わぬ非難を浴びた。

 次の日の2日、北朝鮮は弾道ミサイル1発を発射した。北朝鮮労働党の機関紙である「労働新聞」は論評を通じて、「南北関係が膠着状態に陥るようになった根本的な原因は、一言で言って、南朝鮮当局の裏切り行為にある」、「南朝鮮当局は、表では北南関係の改善と朝鮮半島の緊張緩和に向けて共同で努力することを合意しておきながら、後ろでは外勢と野合して隠蔽された敵対行為を続け、南北関係の発展を厳しく阻害した」と主張し、国軍の日のイベントに対する抗議的な挑発であることを暗示した。

 米国務省関係者もVOA(米国の国営放送「ボイス・オブ・アメリカ」)に送ったメールを通じて「韓国と日本間の最近の意見の衝突を考慮すると、リアンクル・ロックス(竹島の中立的名称)で行われた軍事訓練や規模などは、(現在、韓日間の)進行中の問題を解決するのに、生産的ではない」と批判した。

 当の韓国はと言えば、北朝鮮によるミサイル発射に際して、自ら破棄を決定・通告しながらも、まだ効力が残っているGSOMIAに基づき、日本に北の弾道ミサイルに関する情報提供を求めたという。大々的な「反日デモンストレーション」の翌日にこれでは、韓国という国家をどの国が信頼してくれるのだろうか。

 日本はもとより、北朝鮮や米国までが非難に乗り出した文在寅政府の国軍の日の反日イベントは、韓国の外交的孤立をさらに招くことになるだろう。