海外で、日本あるいは日本製品のイメージは、「安全」と「安心」だった。しかし、福島原子力発電所で爆発事故が起き、そのイメージは大きく崩れ去った。
風評被害を心配する日本政府は、汚染レベルは「健康被害を心配する必要がない」と繰り返し、国民に冷静な対応を求めている。確かに日本では、一部の過剰反応はあるものの、国民の間にパニックが起きているわけではない。パニックは海外で起きている。
成田空港では外国人の日本脱出ラッシュがあった。筆者は先日、米国出張でワシントンから東京に戻ってきたが、同じ飛行機に西洋人は1人しか乗っていなかった。それも成田経由で上海にいくビジネスマンだった。
諸外国の中で、ヨーロッパ諸国は放射能汚染にもっともデリケートであるが、東京を離れれば問題が解決される。問題は、逃げ場がない隣国の中国と韓国である。事故後、中国と韓国のテレビはほぼ24時間体制で原発事故の推移を報道している。
「ジャパン・パニック」は、健康にいいとされる日本の食品が敬遠されるようになったことからも見て取れる。アジア諸国では、回転ずしのレストランから客がいなくなった。日本から輸出された貨物の受け取りが拒否されるケースも出ている。また、日本への観光ツアーはキャンセルが続出した。
なぜか見られない海外向けのメッセージ
果たして、日本はそんなに危険な状況に陥っているのだろうか。
事故を起こした原発が最悪の状況から脱出しつつあるのは確かである。ホウレンソウなどの野菜や原乳などから放射性物質が検出されたというが、それは、原子炉の建屋が爆発した直後に漏洩した放射性物質によるものである。放射線量は時間が経つとともに、確実に低下している。
それよりも問題は、政府や東京電力の情報公開である。