HRプロ編集部取材×注目人事トレンド
2019年5月29日、株式会社リフカムの主催セミナー、「採用・組織を変革するリファラル採用最前線」が東京・恵比寿で行われた。これは近年注目度の高まっている「リファラル採用」をめぐる現状や注目される理由を紹介しながら、ミスマッチの少ない採用・紹介したくなる会社づくりについてパネルディスカッション形式で語り合うもので、3名のリファラル採用専門家がそれぞれの立場や役割を踏まえた持論を展開した。登壇者はリファラルリクルーティング株式会社の白潟敏朗氏、株式会社リクルートキャリアの髙森純氏、株式会社リフカムの清水巧氏の3名。これからのリファラル採用の可能性・必要性を参加者に伝える、有意義な場となった。
最近のリファラル採用ブームについて
髙森 厚生労働省の統計によると、現在転職者の25%、120万人がリファラル採用で転職しているという結果が出ています。考えてみると、確かに自分の周りにも知人の紹介で転職した人が少なからずいます。リクルートキャリアの実施した調査では、2019年度にリファラル採用を新たに検討しようとしている企業が11%に上ることが分かりました。
なぜリファラル採用を検討するようになったのか。理由としては大きく「人が集まらなくなっている・人が採れなくなっている」「採用コストが上がっている」の2点が挙げられます。
同じくリクルートキャリアの調査によりますと、採用計画に対して結果が目標に達しなかった企業が流通・小売・外食といった業種の中小を中心に、25%にも上ります。そしてそのうち、採用活動のために先のゴールデンウィークも休めなかった企業が50%もありました。
以上のことから、リファラル採用が求められる理由として考えられるのは、「採用計画を目標通りに達成したい」「採用コストを削減したい」の2点ということになり、時代に求められた結果と考えることができます。
白潟 私どもはリクルートキャリアさんと立ち位置が違い、中小・ベンチャー企業を中心にコンサルさせていただいております。その中で言うと、採用計画に達成できなかった企業は25%よりさらに多い。ほとんどの企業が達成できていないと言っていいのではないでしょうか。
100名以下の企業は、採用コスト的に転職サイトやハローワークなどに委託することも難しく、「やるならリファラル採用しかない」という声を多く聞くようになっています。注目度が上がっているのは当然だと思います。
清水 今日、会場にお越しいただいた企業でも8割ほどがすでにリファラル採用を実施されているようです。私の肌感覚としては、以前から縁故採用的な風潮は社内にあったけれども、ここ1~2年で会社として「リファラル採用をしっかりやっていこう」というフェーズに切り替えた企業が多いのではないかと思っています。
その理由は、先ほど髙森さんがおっしゃったように労働人口の減少や採用コストの不足といったものが挙げられますが、それに加えて、海外ではリファラル採用をプログラムとして実施している企業が、ほぼ9割を占めているという時代的な流れも大きいと思います。
また、私がSansan株式会社の立ち上げに従事していた2000年代後半から、スマートフォンやSNSが広く普及し、知人に気軽に声をかけやすい環境が整ってきました。20年前は書面やメールでかしこまった文面で打診しなければならなかったところのハードルが、グンと下がった。リファラル採用を行うための素地が時代を経て着実に構築されてきたわけです。