どんな国でも、「外交は内政の延長」と言うが、これが事実とするなら、ちょっと尋常でない政権である。日本はまんまと、文在寅政権のスキャンダルを覆い隠す「隠れ蓑」に利用されたことになる。

韓国、日本との軍事情報共有協定の破棄を発表

韓国の首都ソウルにある大統領府(青瓦台)で開かれた国家安全保障会議の後、記者会見に臨む、金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長(2019年8月22日撮影)。(c)AFP/YONHAP〔AFPBB News

「反日」を北朝鮮を振り向かせる手段に

 この関係者は続いて、今回GSOMIAを破棄した第二の理由について述べた。

「それは、北朝鮮の金正恩政権に対して、恩を売ることだ。5月29日に北朝鮮の朝鮮中央通信は、『南(韓国)当局は、戦争協定(GSOMIAを指す)の破棄という勇断をもって、意志を見せるべきだ』と発表し、韓国をけしかけている。

 文在寅政権を一言で言い表すなら、『北朝鮮だけを見ている政権』だ。つまり外交は、一にも二にも、北朝鮮との友好なのだ。

 ところが、2月28日にハノイでドナルド・トランプ大統領と金正恩委員長が『決裂』して以降、『仲介者』としての文在寅大統領の評判は、北朝鮮でガタ落ちだ。韓国が共同開催を呼び掛けていた『三一独立運動100周年記念行事』も、北朝鮮は完全無視。また、北朝鮮は非核化どころか、周知のように韓国を標的とした短距離ミサイルの実験を繰り返す始末だ。

 そこで文政権としては、北朝鮮の暴発を喰い止め、再び韓国側に振り向かせる『劇薬』が必要だったのだ。それによって、『韓国の真の敵は、北朝鮮ではなく日本である』ということを、北朝鮮に認めさせたというわけだ」

 この第二の理由を考えると、文政権の北朝鮮政策のために、日本がまんまと利用されたことになる。