人民解放軍の改革について

 白書は、人民解放軍の改革について、230万体制から30万人を削減したなどの成果を概略的に説明をしているが、主要点は以下の通り。

●白書が紹介する簡単すぎる人民解放軍の組織図

 人民解放軍の指揮系統は、「軍委管総、戦区主戦、軍種主建」がキーワードだ。

 つまり、「中央軍事委員会が全てを管理し、5つの戦区が作戦を実施し、軍種である陸・海・空・ロケット軍は各々の指揮下部隊の戦力開発(部隊の編成装備、訓練など)を担当する」という意味だ。

 白書では軍隊の実態を知る基本資料である組織図について、図1と図2に示す簡単な組織図しか紹介していない。これでは、人民解放軍の複雑な組織を十分に理解することはできない。やはり秘密主義の壁は厚い。

図1「中央軍事委員会‐軍種‐部隊」

 図1は、中央軍事委員会と軍種および部隊の関係を示している。中央軍事員会が直接、陸軍等の軍種を指揮している。各軍種は、各々の部隊を鍛えて戦力を維持・強化する。

図2「中央軍事委員会‐戦区‐部隊」

 図2は、中央軍事委員会と戦区及び部隊の関係を示している。中央軍事委員会が直接戦区を指揮し、戦区が部隊を指揮して作戦を実施することを示している。

●人民解放軍の指組織図(渡部案)

 図1と図2だけでは人民解放軍の全体像を把握できないので、筆者が諸資料を総合して作成した組織図が図3だ。この図3により人民解放軍の全体像が概観できるはずだ。

図3「人民解放軍の組織図(渡部案)」