この親書が重要な役割を果たしたと指摘するのは、北朝鮮事情に詳しい韓国人ジャーナリストだ。

「トランプはその後、金正恩に親書への返信を送った。それを受けて北朝鮮の国営TV・朝鮮中央TVは23日に、『(金正恩委員長は)トランプ大統領の政治的判断能力と並外れた勇気に敬意を表するとし、興味深い内容を慎重に考えてみると述べた』と報じました。この報道から分析すると、親書、もしくは親書の中に北朝鮮労働党幹部による付帯文書を同封するなどの方法で、北朝鮮側から板門店での米朝会談の提案があったのではないかと見られています」

 追い詰められていた北朝鮮側の発案で、第三回米朝会談はスタートした可能性が高いのだ。

金委員長、トランプ大統領から親書 「素晴らしい内容」 KCNA

トランプ米大統領からの親書を読む金正恩(朝鮮労働党委員長(撮影日不明、2019年6月23日配信)。(c)KCNA VIA KNS / KCNA VIA KNS / AFP〔AFPBB News

トランプの打算

 では、なぜトランプは金正恩の提案に乗ったのか。大統領再選を見越した外交パフォーマンスというのも確かに一要因であろう。

 だが、彼の行動則を見ていると浮かび上がってくる、ある“不安”がある。そこに金正恩と三度目の握手をした理由もある可能性が高い。

 2018年にシンガポールで開かれた米朝会談。そのときに、金正恩が妹の金与正(キム・ヨジョン)氏を引き連れて有名ホテル「マリーナベイ・サンズ」を訪れたシーンを記憶している方も多いだろう。

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シンガポールのマリーナベイ・サンズ(Marina Bay Sands)を撮影する旅行者(2014年3月29日撮影)。(c)AFP/MOHD FYROL 〔AFPBB News

 会談では非核化プロセスなどについて話し合われ、歴史的な会談として世界中に報道された。