脱北者らによって組織され、「金正恩政権打倒」を掲げ活動を行っている自由朝鮮は、今年2月にはスペインの首都マドリードで北朝鮮大使館襲撃事件を起こしたとされている。

「事件は朝鮮語を話すアジア系の複数の人物が北朝鮮大使館に侵入し、館内のコンピューターや携帯電話を奪い逃走したもの。犯行声明を出した自由朝鮮は北朝鮮による制裁逃れや欧州での密輸活動に関するデータを盗み出したとされています。その後、容疑者が米当局により逮捕されていますが、自由朝鮮は盗み出した情報をFBIに提供していたとも噂されているのです」(外交ジャーナリスト)

 北朝鮮がこうした活動を憂いている理由は、自由朝鮮の裏に米当局の影がチラついているからだ。今年の3月、韓国大手メディア東亜日報が情報消息筋の話として、マレーシアで暗殺された金正男氏の息子キム・ハンソル氏が米CIAの手引きで米国に入ったと報道した。当初、自由朝鮮と行動を共にしていたとされるハンソル氏は、現在はFBIの保護のもとニューヨーク郊外で生活していると伝えられたのだ。

金正男氏の息子ハンソル氏か、ユーチューブに動画メッセージ

韓国ソウルの駅で、金正男氏の息子ハンソル氏と名乗る男性の動画に関するニュースを見る男性(2017年3月8日撮影)。(c)AFP/JUNG Yeon-Je〔AFPBB News

 ハンソル氏は金正日の孫にあたり、北の後継者となる資格がある人物。米当局はポスト金正恩を見越して、ハンソル氏を保護したのではないかという観測が広がった。

「金正恩は米国が北朝鮮に対して軍事攻撃に踏み切ることはないと読んでいますが、一方で米当局の工作によって体制転覆を謀られるのではないかという疑念を常に感じていると言われています。金正男の暗殺も、国内の粛正も、そうした考えに基づいて行われたと見られているのです。内憂外患状態にある金正恩は、なんとか身の安全を確保するためにもトランプと再び握手する必要性があったのです」(北朝鮮ウォッチャー)

「会談を持ちかけたのは北朝鮮」との見方

 韓国内では板門店での米朝会談を持ちかけたのは北朝鮮サイドだったという見方が強まっている。6月11日、金正恩はトランプに親書を送っている。親書の内容は明らかにされていないが、米メディアなどでは14日に誕生日を迎えたトランプへの誕生メッセージではないかなどと伝えられた。