「米軍が他国の自然災害に対応する主な理由は、もっぱら人道的なものです。

 米軍には困っている人々を助けるための能力があります。もし、道端で誰かが傷つき倒れているのに気がついたとしましょう。自分にはその人を助けられるだけの能力や知識や必要な装備があるにもかかわらず、立ち止まって助けの手を差し伸べなかったとしたら、それはなんと思いやりの心に欠けていて恥ずべきことでしょうか。

秋田沖で4000名の海兵隊員を乗せスタンバイする揚陸艦(写真提供:USMC)

 困惑している人々を援助する能力があるのにそれをしないのは、文明人のすることではありません。・・・

 海兵隊が第一に戦闘のための組織であることに変わりはありませんが、我々海兵隊員には困っている人々を助けたいという強い願望があります。

 海兵隊には大量の資機材を迅速に移動させる能力、水を浄化する能力、非常にしっかりとした医療設備を配備する能力、インフラが破壊されて物資が不足する環境で救援物資を運ぶ能力、自然災害によって破壊された地域に基地を設けてから救援を行う必要がないように洋上から救援活動をする能力など、様々な高度な能力があります。

 もともとは戦闘用として開発したこれら能力のすべてが、そのような能力を持たずに傷つき困惑した人々を助けるためにかけがえのない能力をもたらしてくれます」

 これは、かつてホノルルのキャンプ・スミスで、太平洋海兵隊司令部G5部長のスミス大佐が語った言葉である。このたびの東日本大震災と原発事故によって、先進経済国日本は、まさに「能力を持たずに傷ついている国」となってしまった。

アメリカ海兵隊は被災者の期待を裏切らない

 現在、沖縄を中心とするアメリカ海兵隊部隊がHA/DR(人道支援・災害救援)作戦である「Operation Tomodachi(トモダチ作戦)」に投入され、海軍や空軍などの部隊とともに救援活動に従事している。同時に、洋上の揚陸艦には増援部隊がいつでも出動できるようスタンバイしている。