(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)
間もなく参院選が公示になる。各政党や候補者は必死の戦いを行っていくことになる。だが重要な国政選挙が始まるという雰囲気がまったくない。これは私だけではなく、多くの人がそう感じているのではないだろうか。
なぜ選挙の雰囲気がないのか、いくつかの理由があると考えられる。
あまりにも選挙の規制が多すぎる
日本の公職選挙法は、世界各国と比較しても規制が極端に多い。あまりの規制の多さに選挙のプロでも分からなくなっているほどだ。
本来、選挙活動というのは、有権者がより多くの情報を得ることができるように、可能な限り規制を少なくすべきなのだ。だが今の日本の公職選挙法のもとでは、ポスターの掲示板でも見ない限り、誰が立候補しているのかさえ分からない。
選挙期間中に候補者の宣伝カーと出会うこともほとんどない。今年(2019年)の4月に統一地方選挙が行われた。私はほぼ毎日、1時間弱の散歩をしている。それでも数十人が立候補していた市議選で選挙期間中に見かけた候補者は3人だけである。数人が立候補していた県議選では、ついにただの1人も見かけることはなかった。
選挙の雰囲気がまったくないのである。意識的にこのようにされてきたのが、公選法改正の歴史である。これではよほど関心を持っている人でない限り、選挙が行われているということすら自覚できないだろう。投票率が年々下がってきているのも当然である。