日本で3月11日午後に大地震が起こったという第一報は、米国西部では夜の11時前後に入った。東部はすでに夜中の2時。大多数の人がこのニュースを知るのは翌朝になる。

 夜中だったこともあって、ニュースはひたすら日本から送られてくるNHKやロイターの映像を流し続けた。仙台沖の津波が襲ってくる映像はほぼ生中継ということで、伝えるニュースアンカーの女性は「こんな映像をかつて見たことがあるでしょうか!」と叫ぶように繰り返していた。

 最近の他の災害と違い、今回の大地震は日本という先進国が舞台のため、報道体制や映像伝達の手法が発達しており、世界に臨場感を持って災害の様子が詳細に伝わっていった。

 次々と入ってくる生々しい映像は、ニュースを伝える人々を明らかに興奮させていた。津波が家屋や車などを呑み込み、恐らく多くの犠牲者がいる映像でも、そのことに思いが至らないほどのトーンだった。

 この2週間ほどニュースを支配してきたリビア情勢の話は一時的に消えた。翌日は日本の地震のニュース一色となった。

予定変更となった大統領記者会見

 早朝から、津波は米国西部の海岸に到達する可能性があるので、海岸には近寄らないようにという警告が出る。

 この日、オバマ大統領は上昇し続ける石油価格についての記者会見を開く予定だった。このところ、日に日に上がる石油価格への対策がなっていないということで、共和党から激しい批判にさらされてきた。その攻撃に答える形になるはずだった。

 だが、大地震の影響で、この日の朝、一時的に原油価格が下がった。会見は予定時間より1時間以上遅らされ、その間、オバマ大統領は日本の菅直人首相と電話会談し、急遽日本の地震についての会見に変更になった。