滋賀県大津市で起きた園児を巻き込んだ車の事故。二人の尊い命が失われた。保育園の散歩中に起きた悲劇は防げたのか? 現役保育士で、さまざまな保育活動支援などを行っている、てぃ先生に話を聞いた。(語り下ろし/構成・JBpress)
痛感した保育業界への無関心
大津市で起きた痛ましい事故の現場を見て、とても悲しく、亡くなったお子さん、保護者の方の気持ちを考えると、言葉にしようのない思いがこみ上げてきます。
心よりご冥福をお祈りするとともに、現在も治療されているお子さん、保育士の方々が一日でも早く、穏やかな日々を送れますよう重ねて祈っております。
今回の事故が保育業界にもたらす影響は少なくないと思います。事故の翌日に知り合いの保育士は「散歩、気を付けてくださいね」と親御さんに言われたそうです。一部では、散歩をやめた方がいいという意見もあると聞きます。
また、今回の事故で、子どもたちを預かっていた保育園が記者会見を行いました。そこで投げかけられたメディアからの質問に、賛否が飛び交っています。メディアの方々も仕事として職責を全うされようとしたのかもしれませんので軽々に言えませんが、保育士を生業としている私自身からすると、あら探しをされているようで、とても残念な気持ちになりました。
ただこうした「世の中の反応」からはっきりと感じたことがひとつあります。それは、保育の現場について、もっと知ってもらわねばならない、ということです。
もし、少しでも「保育士の仕事」や「保育園の在り方」について知っていただければ、ああいう会見は防げたかもしれません。また、今回はストリートビューの映像があり、園が普段からしっかりと対策を講じていたことが分かりましたが、もしそれがなかったら、違った印象を持たれてしまった可能性もあります。