「田原さん、若い時代にYouTubeがあったら、絶対YouTuberになってたと思いますよ」(明石氏)、「なってたね、きっと」(田原氏)

 影響力の面でも収益面でも動画の存在感は急速に高まった。だた、動画界のトップランナー・明石ガクト氏によれば、「動画の時代が本格化するのはむしろこれから」なのだという。テレビやネットを含めた映像の世界はこれからどう変わるのか。田原総一朗氏がとことん聞いた。(構成:阿部 崇、撮影:NOJYO<高木俊幸写真事務所>)

(その1)「テレビを見ない若者がスマホの動画には食いつく理由」はこちら
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55897

(その2)「視聴距離30センチのスマホだから伝わること」はこちら
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55898

テレビ局のパワーは今でもすごいが・・・

明石ガクト氏(以下、明石) 僕は今、個人が動画をがんがん上げられるようになって、メディアとかコンテンツの形がすごい変わっていくフェーズだと思うんすよね。実際、YouTuberの人たちってめちゃくちゃ稼いでる。

田原総一朗氏(以下、田原) どれくらい稼いでるの?

明石 億単位の年収があるYouTuberは何人もいますよ。

田原 なんでそんなに稼げるの。

明石 それこそ田原さんのお孫さんがYouTube、見てるからっスよ。若い人が、テレビではなく、YouTubeを見ている。

田原 実際に今、テレビ局はどこも広告収入が減っていて、制作費も毎年毎年、削減されてるんだよ。

明石 そうですよね。今テレビでCMを流そうと思っても、10代、20代の視聴率が最も足りてないんです。しかもそのうちに、視聴率もいまの世帯視聴率中心から個人視聴率に移っていきます。そうなるとその問題って、より顕在化してっちゃうと思うんですよね。

明石ガクト:ONE MEDIA 代表。上智大学卒業後、エキサイトを経て、2011年独立。2014年、分散型動画メディアの運営や動画コンテンツの制作を手がけるONE MEDIAを創業。著書『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』が話題に。

 だからといって、テレビがコンテンツを作ったり届けたりするパワーが全然ないかっていったら、今でもめちゃくちゃあるんすよ。インターネットのパワーと比べたら、今でも月とスッポン。テレビ局のパワーはやっぱりすごいんです。

 ただ、長い目で見て、今スマホで動画ばっか見ている小中学生が大人になったとき、どういう世界になるんだろうって想像すると、これはもう今とは全く違ってくることは間違いない。

 実際アメリカではもう日本以上にテレビ離れが顕著になってます。

田原 アメリカではどういうことが起きてるの。

明石 アメリカってもともとケーブルテレビ大国なんですね。平均100チャンネルぐらい見られるケーブルテレビ局とみんな契約しているんですけど、最近、ケーブルテレビを見ない、つまりケーブルの線を引かない「コードカッター」って呼ばれる人たちが増えてるんですね。特に若い層で。

田原 彼らはケーブルテレビを見ないで何を見てるの。

明石 それはやっぱりスマートフォンで見れるYouTubeだったり、NetflixやHulu、Amazon Primeですね。

田原 100チャンネルもあるケーブルテレビも、YouTubeとかAmazon Primeに敵わないんだ。

明石 たぶん「同じお金を払うんだったらケーブルテレビよりもNetflixとかHuluだ」っていう発想もあるでしょうし、YouTubeほどコンテンツを集められるケーブルテレビって存在しないっていう事情もあると思いますね。