大統領選に立候補したユリア・ティモシェンコ氏。同氏のサイトより(https://www.tymoshenko.ua/en/news-en/we-will-restore-faith-in-the-future/

 ウクライナ大統領選挙の投票日が3月31日に迫ってきた。(文中敬称略、人名はウクライナ語表記)

 複数の世論調査結果を総合すると、決選投票進出はゼレンシキー、ポロシェンコ、ティモシェンコの3人に絞られてきたと言っていいだろう。

 昨年末に立候補を表明した人気コメディー俳優、ゼレンシキーが支持率で他を大きく引き離し、一方で現職大統領のポロシェンコは野党リーダー、ユリア・ティモシェンコと激しい2位争いを繰り広げている。

3候補者の支持率の変化(%、「大統領選挙において誰に投票しますか」)

(出所) レイティング社 (http://ratinggroup.ua/

現職ポロシェンコの再選戦術

 首都キエフにおけるマイダン革命(「尊厳革命」)直後に行われた大統領選挙で、ポロシェンコはウクライナ政治史上、最高の得票率で当選した。

 しかし、出口の見えないドンバス内戦、景気低迷、公共料金の高騰、そして変わらぬ汚職体質で支持率を下げ続け、再選に危険信号が灯っていた。

 国際通貨基金(IMF)の圧力に屈して昨冬に実施した住民向け天然ガス価格および暖房料金の値上げの引き上げは国民の反感を買ったものの、その後はことあるごとに支持率を回復させた。

 ところが昨年末以降、ナショナリズムの強調、メディア露出、そしてバラ撒き政策により支持率を回復させてきた。

 例えば、11月末のケルチ海峡でのウクライナ艦艇拿捕事件、新年以降の相次ぐナショナリズムを刺激するイベント-ウクライナ正教会のロシア正教会からの独立令(トモス)発布(1月7日)、ウクライナ人民共和国合同令100周年(1月19日)、尊厳革命の英雄追悼(2月18日)などである。