1月24日、JPモルガン・チェースのアナリストたちは、世界の大半の地域でもはやビットコインの採掘が採算に合わないとの分析を発表しました。
(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-25/PLW4TK6VDKHV01)
1ビットコインの採掘にかかる電気代は、電気料金によって世界に大きな開きが存在しますが、全世界の加重平均で約4060ドル、44万円程度と見られます。
これに対して、現在のビットコインのレートは3600ドル程度なので、「掘れば掘るほど赤字が出る」構造になっており、次々とビットコイン・マイニングからの撤退が報じられています。
しかし、地域によって、例えば中国の一部などでは、アルミ精錬業者などから廉価な電力を契約供給してもらうことで2400ドル程度の電気代でマイニングが可能なため、いまだ採算が取れる地域が存在するとも指摘。
これはつまり、近い将来、全世界の大半でビットコイン採掘は下火となり、一部中国などで細々とマイニングが続く規模まで、ビットコイン全体の成長が縮小する可能性を示唆しているかと思われます。
「ビットコインは終わった」というような見方が、昨年末の暴落以降、報じられるようになっています。
実は、私たちは昨年初夏の時点で、いわゆる「仮想通貨」市場の明確な限界を理論的に確認したうえで、それを超えるブロックチェーン技術の展開を国際的に検討してきました。
昨年秋、中曽宏日銀前副総裁をお招きして行ったシンポジウム「哲学熟議」など、お運びいただいた方には周知の通りと思います。この文脈での東京大学出版会から、私たちの教科書も近々刊行されます。
ここでは、こうした投機が一体なぜペイしないか、ビットコインという興味深い対象の目論見と誤算がどこにあったか、やはり原理からつまびらかに検討してみたいと思います。