「仮想通貨元年」と言われた昨年、一躍脚光を浴びることとなった「仮想通貨」という言葉は2017年を象徴する新語として三省堂の「今年の新語2017」の一つに選ばれた。
さらに今年は「バブル」と呼べるほどの急激な乱高下が大きな話題となり、仮想通貨は「ユーキャン 新語・流行語大賞」2018年版にノミネートされている。今や仮想通貨という言葉自体は誰もが知るところとなった。
そしてもう一つ、仮想通貨関連の話題に付き物なのが「ブロックチェーン」という単語だ。ブロックチェーンは仮想通貨の根幹を支える技術だが、多様な分野への応用が期待されている。
ガートナー ジャパンが4月5日に発表した「ブロックチェーンへの取り組みに関する調査結果」によれば、42.6%の日本企業は既に何らかの形でブロックチェーンを事業に活用するための取り組みを開始している。さらに同調査では、3年以内にブロックチェーンに取り組む日本企業は60%に達すると予測されている。ブロックチェーンの応用によって社会が変化していくことは、ほぼ間違いない。
もしも「ブロックチェーン=仮想通貨」という認識でいるとしたら、早めに払拭しておいた方が良いはずだ。今回はブロックチェーンの基本的な仕組みや、最新の活用事例について見ていこう。
個人同士が証明し合う、改ざん不可能なブロックチェーンの仕組み
ブロックチェーンは、ネットワーク上にいる利用者たちがお互いに取引データを「分散」して管理し合う仕組み。取引データのまとまり(ブロック)は、時系列で鎖(チェーン)状に連なっており、「分散型取引台帳技術」または「分散台帳技術」等と呼ばれている。代表的な仮想通貨である「ビットコイン」の基幹技術として発明されたものだ。
従来のオンラインバンキングにおける銀行のように中央集権的な管理機関を持たないため、万が一ネットワーク上に存在するデータの一部が改ざんされたとしても、分散された他のデータと整合性が取れなければ、すぐに不正が明らかになる。同様に、サイバー攻撃によって一部のデータベースが破壊された場合も、同一のデータを保存している別のデータベースから復元することができる。
複数のコンピューターで分散して管理している関係上、リアルタイム性に乏しいというデメリットはあるが、上述のようにシステム障害に強く、改ざんや不正が極めて困難というメリットは様々な業界から注目されている。特に信用や透明性が求められる金融や医療、不動産の契約といった分野での活用が期待されているのだ。