(桃田 健史:ジャーナリスト、自動車評論家)
ITや家電に関する世界最大級の見本市「CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)」(米国ネバダ州ラスベガス:2019年1月8~11日)では、様々な企業が自動運転に関する展示や記者発表を行い注目を集めた。
近年のCESは、車載器とスマートフォンのコネクティビティや自動運転などの次世代技術を展示する自動産業界からの参加企業が増えている。だが、各社の次世代技術の紹介を見ていると、昨年までとは少し毛色が変わってきたように思えた。
キーワードは、「ユースケース」(実際の使用場面)だ。
リアルワールドに対応する画像認識技術
ユースケースを提示した1社として、フランスの自動車部品メーカー大手、ヴァレオ社の出展内容を紹介しよう。
まずは、最新型の自動運転技術を公道で体験した。車両は、英ランドローバー社のレンジローバーがベース。装着しているセンサーは、カメラ、レーザーレーダー(通称ライダー)、超音波センサーなど。高度な自動運転を行うシステムとしては近年一般化してきたセンサー類である。
その中で筆者が注目したのは、フロントガラスの内側上部に設置された3連カメラだ。
これは、近距離、中距離、中長距離の3つのレンジでの画像認識を同時に行うもの。ハードウエアはヴァレオ製だが、画像認識のアルゴリズムなど半導体の設計は、インテルが2017年に買収したイスラエルのモービルアイが行った。