(文:コーチ・エィ 鈴木義幸)
人生の転機を乗り越えられなかった人には、何が欠けていたのか。
米国の臨床心理学者ウィリアム・ブリッジズ氏は、膨大なインタビューに基づき、それは、「終わらせることができなかったということに尽きる」と結論づけています。
そして、転機を乗り切るステップについて
「終焉」 今まで続いていた何かが終わる時期
「中立圏」 混乱・苦悩・呆然自失が起こる時期
「開始」 何かが始まる時期
というプロセスで説明しています。
このコンセプトを、転機にある組織に当てはめて考えるとどうなるでしょうか?
なぜ、人は「終わらせる」ことができないのか?
ベストセラー『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』の著者で組織開発のコンサルタント山口周氏は、『武器になる哲学』の中で、組織変革が失敗する理由について前述のブリッジズの言葉で説明しています。
「一体何が終わったのか、何を終わらせるのかという『終焉の問い』にしっかりと向き合わないのです。ここに多くの組織変革が中途半端に挫折してしまう理由があると、私は考えています」
山口氏は「時代」にも言及し、平成を「昭和を終わらせられなかった時代」と考察しています。