韓国で「米韓同盟解消」を匂わせる主張も

 米韓間の隙間風は、屈折した形で米韓同盟のあり方にまで及んでいる。

 今のところ米国では、「米韓同盟をすぐに縮小、あるいは解消するべきだ」というような意見は表面には出ていない。トランプ政権も民主党も、北朝鮮の非核化という切迫した課題に対処しなければならないからだ。米韓同盟の維持という基本に、揺らぎはみられない。

 ところが韓国では、文在寅大統領の側近から「米韓同盟の解消」を匂わせる主張がときおり表明される。文大統領の外交・安保特別補佐官の文正仁氏(延世大学教授)は2018年5月、米国大手紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」記者に「米韓同盟は長期的には解消すべきかもしれない」と発言した。

 文政権に近い左寄りのオンラインマガジン「韓国Expose」の発行人クム・セウン氏は、2018年11月、「ニューヨーク・タイムズ」に米韓同盟解消論を論文として寄稿した。こうした韓国側からの発信は、当然トランプ政権だけでなく米国議会の超党派の東アジア政策現状維持派をいらいらさせる。

 要するに、文政権下の韓国は、米国にとってなんとも付き合いにくく疲れる相手なのである。だから、3年以上前のオバマ政権時代に語られた「韓国疲れ」が、2019年のトランプ政権でも再び形を変えて広がってきたというわけだ

 北朝鮮の完全非核化という大目標の実現を目指すトランプ政権にとって、この「韓国疲れ」がきわめて厄介な障害となることはいうまでもない。