2010年代に入ってAIが盛んに取り沙汰されるようになったのは、ネコの顔の自動認識などディープラーニングが高度な検索能力を発揮したことがきっかけでした。
でも、どうしてそれが社会にインパクトを与えたのか、必ずしも多くの人が認識しているわけではないようです。
先端的な科学や技術の成果はまだいくらでもある。でもどうして「ネコ」なのか。自動認識なのか?
その答えの一つは、莫大な資金を投入してこれらを推進したのが誰かを考えると、よく分かります。
ネコの認識はグーグルがスポンサーでした。つまり検索エンジン、データの爆発がその背景にあります。
このメカニズムを適切に理解する階層と、理解できない人たちの間で、深刻な社会格差が生まれる可能性が、ヨーロッパでも日本でも議論されています。
今回はこの新しい格差「AIデバイド」について、もう少し踏み込んで考えてみます。
データ駆動科学と機械学習
画像などの自動認識がもてはやされるのは、自動認識しなくては追いつかない程度に私たち人類が(この人類全体という部分が重要なのですが)日々、莫大なデータを蓄え続けていることに原因があります。
しばらく日本を離れているので、最近の例が分からないのですが、何か刑事事件が発生すると監視カメラの画像から犯人の足取りが分かったりしますよね?
ちょうど都合よく、その犯人が写っている画像だけが残っているわけではありません。
全国津々浦々の監視カメラ、あるいは自動車ナンバープレートの番号をチェックするNシステム、公共交通機関の昇降情報など夥しいデータが、今現在、この瞬間も採取され続け、蓄えられ続けている現実の変化を認識するのが第一歩になります。
こんな情報を人手で追っていくこと、人力で解析するのは不可能です。第3次AIブームの陰にビッグデータ爆発あり、なのです。