村田製作所のように、中国でさらなる投資を敢行する企業もある。同社は約140億円を投じて積層セラミックコンデンサー(MLCC)の生産能力を増強するという。だが、そうした企業はごく一部ではないだろうか。
日東電工広報は「中国企業は資金力があり、意思決定が速い。同じものが製造できるようになった今、価格競争は持久戦にならざるを得ない」という。特に液晶の分野は、投資を止めると成長が止まると言われる。日本勢は厳しい状況に置かれていると言わざるをえない。
中国市場の不透明感はますます濃厚に
日本では米中貿易戦争に端を発した“ファーウェイの締め出し”が行われようとしている。ところが、ファーウェイの日本企業からの部品調達は5000億円規模に上るとも言われている。ファーウェイ製品を締め出すことで、部品を納入する日本企業が被害を受ける事態も予想される。
中国に工場を構えるある日系部材メーカーの社員は、次のように不安を隠さない。「ファーウェイのCFOが逮捕されたことで、中国市場の不透明感はますます濃くなってきています。まったく先が読めません」
“潮時”を見極めなければならない一部の日本企業にとっては、撤退の「タイムスケジュール」を前倒しするきっかけになるかもしれない。