この空飛ぶクルマは電動が想定されている。要求される俊敏な動きは応答性のよいモーターならではだし、経費の面でも電気が優位である。

 空飛ぶクルマは必ずしもこれまで紹介してきたような固定翼機ではない。しかし、空を飛ぶことは同じであり、飛ぶためには軽く強力な動力が必要であることも同じである。

 電動航空機と同じく、空飛ぶクルマは軽いモーターと電池の開発が必要である。言い換えれば、小型純電動航空機の開発の延長線上に空飛ぶクルマの実現がある。

 空飛ぶクルマは4人程度が乗ることを前提としているものがあり、前述のExtra 330LEと比べても大型である。

 こうしたものを飛ばすための、実用的な飛行時間と飛行するものに搭載できる重量を両立させる電池はまだ開発されていない。

 また、空飛ぶクルマが技術的に実現できたとして、東京のような場所で無秩序に飛び回られると、どのようなことになるかは明らかである。

 技術だけでなく制度面の整備も必要である。電気自動車と同様、充電のためのインフラも必要であろう。

 しかし、これまでの急速なモーター、電池、パワーエレクトロニクスの発達を見るに、非現実的と一蹴できるものではない段階にきているように見える。