それでもまだ短く感じるが、現状、純電動飛行機が想定されている1人乗りの小型機では、その程度の飛行ができれば十分だそうだ。
純電動飛行機のメリットは大きい。一つにはエネルギー費用が挙げられる。
EVの電気代がガソリン車のガソリン代よりはるかに安いのは知られているが、同じ理屈で電動航空機の燃料代はガソリンエンジンの航空機よりはるかに安い。
実際の燃料代・電気代を比べてみると、電気自動車はガソリン車の3~4倍有利である。
ガソリンは税金が高く、ガソリン代の半分近くが税金である。しかし、電気自動車はガソリンにかかる税金がゼロだったとしてもまだ優位である。
現在のピストンエンジンを積む航空機は、価格が自動車用の2倍以上になることもあるアブガスと呼ばれる航空用ガソリンを用いる。電気飛行機の動力費の優位性は、自動車の場合よりもさらに大きい。
誘導モーターはエンジンよりメンテナンス性が良く、整備の手間も省ける。高度を下げる際は、プロペラを風車にして発電することで高度差をエネルギーに変換できる。
電車やEVが、減速の際にスピードを電力に変換できる回生ブレーキを備えているのと同じ理屈である。
かつて電動は非常に大がかりなものであった。昔の鉄道車両は制御のために大きな抵抗器を積み、大型で定期的にブラシの交換が必要な直流モーターを積んでいた。
それが、パワー半導体の進化で小型のインバーターを使って小型の交流モーターを駆動できるようになった。
パワー半導体と交流モーターの組み合わせで電力の回生が簡単になり、鉄道も大幅な省エネも実現した。
そして、インバーターで交流モーターを回す仕組みは自動車に搭載されるようになり、ハイブリッド車やEVができた。