今回の改正案が決着するのは、以後の諸手続を俯瞰すると、せいぜい来月上旬頃であろう。あと1か月もないが、改正ルールが最終的にどんな姿に仕上がるかは、まだ予断を許さない。

 もし何らかの経過措置が設けられるとしたら、前述の「接続工事申込みの申請・受領」の期限に関してではないだろうか。この点について、参考までに言うと、今年実施された小型風力発電に係るルール改正(買取価格を55円/kWh→20円/kWhへと大幅引下げ)の際は、要するに次のような経過措置が設けられた。

◎対象を真に開発中の案件に厳しく限定した上で、FIT認定日が2018年4月以降になる場合であっても、2017年度と同じ買取価格を適用。具体的には以下の通り。

 ○申請期限:2018年2月末

 ○申請条件:以下の全ての条件を満たすことが必要

  ①申請時に土地の使用権原を証する書類を含め全ての必要書類が添付されていること

  ②2018年2月末までに電力会社に接続契約申込みを行い、受領されていること

  ③2018年7月末までに電力会社との接続の同意を証する書類を提出すること

 今回の太陽光発電に係るルール改正でも、最終的には、こうした経過措置が設けられる可能性はあるだろう。今回のルール改正の経済に与える影響を考えると、経過措置の期間は小型化風力発電にかかわるルール改正の時よりも長いもの(6~12か月等)になるのではなかろうか。特に、環境アセスの実施など自治体の許認可手続きに起因する着工の遅れや、大地震や台風など自然災害に起因する工期の遅延など、事業者の努力では克服できない理由がある場合には、特段に配慮されなければならない。

停止中の原発再稼働でFITによる消費者負担を相殺できる

 また、本稿では改正案の詳細には触れないが、現在の改正案がそのまま実施された場合、いったん買取単価が据え置かれることが確定してもその後に価格変更される可能性が残り、そのままでは融資の組成に支障が生じ、結局、事業者としては案件が進められないとの声も聞かれた。今回の改正を成功させるためには、事業者側の意見のうち合理的なものについては反映していくことも必要だろう。

 最後にもう一つ。再エネFITによって今後ますます膨らむ消費者負担増は、国内の原子力発電所を正常化させることで相殺できる。原子力発電によって火力発電を大幅に減らせば、火力発電に係る化石燃料の輸入量を大幅に減らせる。そうすれば、化石燃料費が減ることで電気料金を引き下げるための原資を捻出でき、再エネ買取費用・賦課金の上昇を憂う必要もなくなる。

 しかし、政権与党も、政府も、ほとんどのマスコミも、これを積極的に打ち出そうとはしない。化石燃料輸入依存度が世界的にも異様に高い日本の場合には、原子力正常化こそが、消費者負担増を相殺しながらの再エネ普及促進のための特効薬なのである。