世界的な観光都市、京都が抱える大きな問題がある。それは交通渋滞だ。
2月2日、日本IBMと京都市は、京都市内のホテルでフォーラム「Smarter Cities─京都」を開催した。産学官が一体となって、京都市のこれからの交通戦略のあり方を探ろうというものだ(以下、引用した発言はすべてフォーラムにおけるもの)。
電車に乗るとたった16分、車だと1時間以上!
フォーラムの中で、京都出身のオリンピックメダリストで、スポーツコメンテーター、「歩くまち・京都推進会議」委員の奥野史子氏は、次のように語った。
「京都には国内外からたくさんの観光客に来ていただいて、ありがたいことだな、京都って本当にいい都市なんだなと、いつも実感しています。でも、住んでいる者からすると、観光シーズンの渋滞が我々の生活にもたらす弊害は大変なものがあります。その解消は、京都の交通戦略の大きな課題なのではないかと思います」
京都市副市長の由木文彦氏によれば、「観光シーズンに京都駅から嵐山まで車で行くと、たどり着くのに1時間以上かかります。電車に乗ったら、たったの16分」だそうだ。
こうした状況の中、京都市は、低炭素都市の実現に向けて市内の交通環境を改善すべく「歩くまち・京都」憲章を制定。歩くことを中心としたまちへの転換を図ろうとしている。「簡単に言うと、車ではなく、鉄道とバスをもっと使おうということ」(由木副市長)である。
京都市長の門川大作氏は、歩くことのメリットを次のように語る。