(文:コーチ・エィ 粟津恭一郎)
みなさんはこれまで、もらったプレゼントを「全く使わなかった」とか「あまり気に入らなくて、他の人にあげてしまった」というような経験はありますか?
誕生日、結婚祝い、出産祝い、クリスマス、お土産など、プレゼントをもらう機会はいくつかありますが、もらったプレゼントにいつも大喜びするかというと、残念ながらそうではないこともあります。
「残念なプレゼント」はなぜ生じるのか?
ハーバード大学のフランチェスカ・ジーノらがこんな実験をしました*1。
90人の被験者を、贈り物を「贈る」役と「もらう」役に分け、アマゾンから1人20ドルの予算内でなんでも送っていい、という実験です。
「もらう」役は全員「ほしいものリスト」を作成して「贈る」役に公開しました。「贈る」役は、相手の「ほしいものリスト」から選んで送ってもいいし、自分で好きなプレゼントを選んで送ってもいい、とされました。
実験の結果、「贈る」役の多くの人は「ほしいものリスト」から選ぶのではなく、自分でプレゼントを選んで送っていました。ところが、プレゼントを受けとった「もらう」役の多くは、プレゼントを見て「ほしいものリストから贈って欲しかった」と答えたのだそうです。
「贈る」役は「もっと驚かせよう」「もっと喜ばせよう」と、相手のためを思ってわざわざ自分でプレゼントを選ぶという方法にしたのかもしれません。その背景には「自分は相手を驚かせたり、喜ばせたりするプレゼントを選ぶことができる」という心理があると考えられます。
このような現象は、よく知られている「ダニング=クルーガー効果」から説明できます。
コーネル大学のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーは、エンジニアが自分自身の能力をどのように評価するのかを調査しました。