9月26日、米・ニューヨークの国連で、イランのロウハニ大統領と会談するマハティール首相(イランのタスニム通信より)

 米国同時多発テロ 「9.11」の追悼の余韻が覚めやらぬ米・ニューヨークで、新たな「文明の衝突」の火花が散らされている。

 米国はイラン核合意から離脱し対イラン制裁を再開しているが、国連総会でドナルド・トランプ大統領はイランを「腐敗した独裁体制」と名指しで罵倒し、11月から追加制裁を発動し、イラン産原油の輸入停止を各国に呼びかけた。

 これに対し、イランのロウハ二大統領は米国の制裁は「違法であり経済テロだ」と激しく非難。

 「イラン国民だけでなく、他国の人々にも悪影響を与え、世界貿易に混乱を巻き起こす」と反論し、原油価格の上昇などによる貿易、経済への国際的リスクへの懸念を表明した。

 さらに、イランは「戦争、制裁、脅し、弱者いじめ」は求めておらず、「法に基づき行動し義務を履行する」とし、「いかなる国に対しても、力づくで交渉の場に着かせることはできない」と声を荒げた。

 こうした米国とイランの鍔迫り合いを国連総会出席のため、一堂に会した世界各国の首脳は、固唾を呑んで見守った。

 2003年9月、首相として国連総会で最後に演説し、今年の5月の政権交代に伴い、15年ぶりに9月28日、演壇に立ったマレーシアのマハティール首相の姿もあった。

 総会席上では、アルファベット順の関係で、マレーシア政府代表団の席の隣に、モルディブ政府代表団が座った。

 モルディブといえば9月23日、野党率いるソリ氏が、親中派の現職ヤミーン大統領を破ったばかり。新政府は早々に、一帯一路などの「中国とのすべての合意を見直す」と発表した。

 中国メディアは、「マレーシアの再来」と警戒と不快感を露にする。

 親中派だったナジブ前政権を破り、再登板したマハティール首相は、中国の一帯一路の目玉大型プロジェクトを中止させるなど、中国の陰が忍び寄る他のアジア諸国の政権運用に大きな影響を与えている。