「システムイニシアティブ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。新しい言葉なので、大方の人は初めて聞くことと思う。

 先日、IT関係者が集まったパーティーで旧知に会った。お互いの近況を話していたら、「システムイニシアティブ」を広める構想に関わっているという。

 ちょうど同じ日に、都内で「システム・イニシアティブ 2011」(日経BP主催)というシンポジウムが行われた。知人はそのシンポジウムに参加した直後だったこともあり、システムイニシアティブの必要性を熱く語っていた。

システムを作らなくなってしまったユーザー企業

 システムイニシアティブとは、「ユーザー企業が自ら主体となってシステムを構築する」ことを指す。「システム開発を、システム開発会社からユーザー企業の手に取り戻す」運動だとも言える。

 いつの頃からか、ユーザー企業は自分でシステムを作らなくなってしまった。ある大手通信事業会社のシステム開発部長は、「社内のシステム開発技術者は名ばかりで、やることと言えば、コーディネーター(調整役)の仕事ばかり。開発の知識が足りない」と数年前から嘆いていた。

 かつては、社内の技術者がCOBOLやBASICといったプログラム言語でオフコンを稼働させ、システムを構築していた。だが、インターネットが普及し、多種多様な言語やデータベース、開発支援ツールが使われるようになったあたりから、外注への依存が強まったような気がする。

 実際、我々がシステム構築の依頼を受ける場合、「国産メーカーのオフコンの保証期間が切れるので・・・」という理由が、結構多いのである。

 そうしたユーザー企業にヒアリングに伺うと、IT部門の古株の技術者が自分でコードを書いていて、なかなかよくできたシステムである。だが、その技術者は定年間際で、後継者がいない。

 しかも、この完熟した古株の技術者は、新システムを構築する際にメンバーとして参加しない。既存システムの運用保守は彼しかできないから、現場を離れられないのである。

できるだけユーザー企業の言葉を使う

 さて、ユーザー企業はシステム構築に当たって、どこまで主体的にイニシアティブを取るべきなのだろうか。

 私なりの理解では、「ユーザー企業が主体になる」ということには、大きく2つの意味があると思う。