マット安川 横浜港の荷直しや積み込みなどの技術力は、世界でも頼りにされるトップクラスのレベルだそうです。

 今回は、その世界に冠たる港を取り仕切る横浜港運協会の藤木会長を迎え、現場から見たTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)問題や自由貿易のメリット・デメリットなど、ここでしか聞けない話をたくさんうかがいました。

与謝野入閣も小沢問題も、大切なのは物事の本質

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:藤木幸夫/前田せいめい撮影藤木 幸夫(ふじき・ゆきお)氏
横浜港運協会会長、藤木企業株式会社 代表取締役会長。 実業家として港湾産業の近代化に取り組み、また長く日本の港湾行政に携わる。
(撮影:前田せいめい、以下同)

藤木 与謝野(馨)さんの入閣問題が取り沙汰されていますが、日本のためということを考えたら、彼は内閣に必要な人だと思いますよ。

 医者には現場専門の人と病理学専門の人がいて、どちらも必要です。例えば、野戦病院の医者。目の前の患者を診て即座に、手術だ、足を切れとやる。

 そんな具合ですから、時には見当違いの手術をするようなこともあります。一方、冷静に理詰めで対処するのが病理学の先生です。

 政治家だって同じこと。現場主義の人と理論派がいて、与謝野さんは後者の優秀な人材なんです。当選した経緯などがあれこれ言われますが、それは事の本質とは違うでしょう。

 似たようなことは小沢(一郎)さんの問題にも感じます。今、政治がやっていることの6割、7割は小沢さんのお金の問題です。おかげで日本の将来がどうあるべきかという肝腎な話が一向に前に進みません。

 政治とお金の問題はもちろん大切ですし、決まったルールを守らないのはもちろん悪いことです。しかし、昔から政治にお金がつきものなのも、また事実です。

 お金の問題にこだわるあまりもっと大事な問題が棚上げになり、近隣諸国に舐められ、あげくは国全体を閉塞感が覆うことの方がより大きな「悪」でしょう。それに比べたら小さなことじゃないかと、ここはマスコミも国民も割り切るべきだと思います。

政治が説得力を持たないと懸案が前に進まない

 嘆かわしいのは今の政治に説得力というものがまるでないことです。一度こういうことを言っちゃったから・・・などと、世論の反応を気にするばかりで何もできない。

 それとこれとを大胆に切り離して、こっちの大事なことは絶対やるという決意を示す、説得力を持って説明するということが必要だと思います。