今回は、文科系の学部で大学、あるいは大学院を修了する/現在在学中だ、といった若い人を主な読者に、教官としてエールというか具体的なノウハウをご伝授したいと思います。
と言っても、より多くの社会人にも広くご参考に供するように「必殺技の身に着け方」という観点でお話しできればと考えています。
明治維新直後の日本を考えてみてください。大学なんか世の中にはありません。西南戦争が終わる頃になって、やっと最初の1つができた。
それから約30年間、日清戦争に勝つまでは、最初の1つだけで、大学学部を卒業した人材は「学士様」、その先は「末は博士か大臣か」と言われたくらいで、ドクターを持っている人なんて、閣僚と同じくらい希少な存在でした。
この当時、特に「文系」で大学に進む人にとって、最も決定的な教養は何だったのか?
今ふうに言うなら「リテラシー」、端的に言えば語学力が、決定的に重要でした。より具体的に言うなら、日本語での執務能力と外国語の能力、これが決定的でした。
ジェット機が「学士様」の値を下げた?
直前まで江戸時代だった明治初期はもとより、大正、昭和初期、もっと言えば戦後すぐの日本も、実は江戸時代と大差のない面が決して少なくなかったように思います。
例えば、服装を考えてみましょう。私が子供だった1960年代、すでに高度成長期にありましたが、和服姿のおばさん、お婆さんは決して珍しくありませんでした。
今だって、和服の人はいると思われるかもしれません。しかし、例えば「ねんねこ」で赤ちゃんを背負って、炊事選択などをしている和服姿の中年女性はまず見られません。
その名残は、マンガ「サザエさん」のお母さんことフネさんの描写で確認できるます。その旦那である「波平さん」も、自宅に帰ると和服です。