山縣氏は、人間の進化の過程を「人間の能力をテクノロジーで拡張していく」と捉え、それを「NAONA」を使って拡張しようと考えている。

“雰囲気のインフラ”に

 関係性の可視化は、職場のコミュニケーション以外にどのような応用が考えられるだろうか。山縣氏は、たとえば飲食店などの雰囲気の把握にもつながると述べる。

「見守りや飲食業界での実証実験にも取り組んでいて、もっといろいろな職場で働いている人のサポートをできたらと考えています」

 また、それらのデータが蓄積されれば、今度は飲食店の「雰囲気検索サービス」のようなことにもつながるかもしれないと、山縣氏は続ける。

「たとえば、飲食店って雰囲気でお店を検索したいときってありますよね。今日はしっぽりした居酒屋で飲みたいとか、ムードのいい店に行きたいとか。そのような飲食店に活用してもらって、雰囲気のデータが蓄積されていけば、そのデータをもとにお店を検索できようになるのではないでしょうか」

 いろいろな人が「雰囲気」を日常的に語る時代が来るかも知れない。

 見えない空気や雰囲気を可視化するプラットフォーム。その発展は、テクノロジーの発達による人間の進化を考える上で、大きな足掛かりになっていくだろう。山縣氏は、開発や実証実験に寄せる思いを語った。

「IoT時代の部品ともいうべき、センシングインフォメーションのプロバイダーになっていきたいと思っています。社是にもある“文化の発展に貢献する”のが大きなテーマですので、社会課題を解決する上での皆さんのインフラのように、そして“雰囲気のインフラ”のようになっていくことができたら面白いですね」