「スマートフォンで巻き返し、◯△社が開発を本格化」「アップルを追撃へ」・・・。主要メディアの経済・産業ニュースで、多機能携帯電話「スマートフォン」を巡る情報が騒がしい。
全世界のスマートフォン需要が高まる中、日本メーカーの開発、あるいは販売動向に関心が高まっているのは言うまでもない。だが、スマートフォンの製造現場では、不穏な空気が漂っているのだ。
「日本メーカーの担当者には会いたくない」
「昔からの取引先には違いないが、正直なところ日本メーカーの担当者には会いたくない」
これは某大手電子部品メーカー開発担当幹部が漏らした言葉だ。「会いたくない」という相手とは、日本の携帯端末メーカーの開発担当者のことだ。
日本の電機メーカーと部品メーカーは長年にわたって共同歩調を取ってきた良きパートナーに他ならない。なぜ、両者の間にすきま風が吹き始めたのだろうか。
その答えは、スマートフォンにある。
冒頭でも触れたように、世界市場でスマートフォンは、四半期ごとに5割近い成長を続けている。
筆者も「iPhone」ユーザーの1人だが、出先で原稿ゲラのチェックが可能になったこと、パソコンと同等にサイトチェックできることから、非常に重宝している。音楽再生や写真ファイル機能もフル活用しており、スマートフォンなしの生活はもはや考えられない。
筆者の周囲でも旧来型の携帯端末からスマートフォンに乗り換えるユーザーが急増中であり、全世界で起きているスマートフォン市場の急成長に違和感はない。
こうした動きに、日本の端末メーカーが「取り残されまい」と対応するのは当然と言えよう。需要が高まっている商品、サービスを取り込まねば、どんどん市場を奪われる一方だ。日本の端末メーカーにそんな心理が働いているのは疑いの余地がない。実際に、日本メーカーの開発を巡る情報や、販路を巡る提携などのニュースが増え、日々伝えられている。
日本メーカーの注文に懇切丁寧に応えていては・・・
日本メーカーがスマートフォンに本腰を入れ始めている。それなのに、なぜ件の部品メーカー担当幹部は日本メーカーを敬遠するのか。
その理由は、日本メーカーの出遅れにある。