アレクサンドル3世像の周りでダンスを披露するクリミアの人々

 英国スパイ殺害未遂事件、化学兵器使用疑惑が深まるシリアのアサド政権擁護、フェイクニュース拡散容疑など、ありとあらゆる非難の対象になっているロシア。

 思い返してみれば、近年の反ロシアの流れは2014年のクリミア併合から始まったものであり、いまだに日本も形ばかりの経済制裁を続けている。

 クリミアは、日本の外務省が海外安全HPで危険度レベル3に指定、渡航中止勧告が出ている。

 いわくつきの場所ではあるが、筆者は先日「ヤルタ会談」で有名なクリミア南部の都市ヤルタに5日間滞在する機会があった。ひとまず政治談議は脇に置き、個人的に見聞きしたことを紹介してみたい。

ヤルタ国際経済フォーラム

 クリミアを訪れたのは4月19日から22日まで行われた第4回ヤルタ国際経済フォーラム取材のためだ。もちろん、日本メディアの姿はない。

 これまで様々なイベントの取材をしてきたが、最も印象に残ったのは、これほど運営や進行がひどいフォーラムは過去になかった、ということだった。

 参加者リストは実際とかなり違ったし、会場地図さえ印刷されていなかった。関係者はその理由について「大統領も首相も来なかったから」と話す。

 確かにロシアの4大経済フォーラム(サンクトペテルブルク、ウラジオストク、ソチ、ヤルタ)を比較すると、ヤルタは見劣りする。

 5月のサンクトペテルブルク経済フォーラムには安倍晋三首相が訪問するし、9月のウラジオストクにも例年、各国首脳が訪れる。それにひきかえ今回のフォーラムのVIPは地元クリミアのアクショーノフ首長だったので、緊張感が足りなかったのだろう。

 参加者は、「ボランティアは多いのに誰も何も知らない」「レストランの入場制限で、食事ができずあきらめて部屋に帰った」などと、内容以前の待遇に不満をこぼしていた。