リノベーションを施し、宿泊施設に生まれ変わった施設

民泊新法の施行で、ヤミ民泊を防止する動きを加速化する日本。しかし、一方で空き家は増え続け、課題は残る。そんな中、新たな形態の旅館を提供する国内初の取り組みがスタートした。京都の町家を不動産証券化し、クラウドファンディングと組み合わせ宿泊施設として再生するという

 京都、鴨川沿いの枝垂れ桜が咲き始めた3月24日。清水焼発祥の地、京都五条坂エリアにある京町家がいつもにない賑わいを見せていた。建物の一角が宿泊施設としてリノベーションされ、その内覧会が行われたのだ。

 実はこの物件、これまでの一般的なリノベーションとは大きく異なる。複数人から出資を募り、利回りにあわせた分配を行う、不動産証券化とクラウドファンディングを組み合わせた国内初の取り組みなのだ。2017年5月25日より募集を開始し、25日間で投資家110名から7200万円の出資を集め、宿泊施設が工事完成した。

 仕掛けたのは2014年創業のクラウドリアルティ。ファウンダーで代表の鬼頭武嗣氏は東京大学大学院修了後、ボストン・コンサルティング・グループを経てメリルリンチ日本証券へ。住宅メーカー、不動産業を中心とした業務を行ってきた。

 同社は、不動産に特化した投資型クラウドファンディング・マーケットプレイスを提供する。投資家はオンライン上で出資を申し込み、出資金を振り込んだ後、分配金やプロジェクトレポートを受け取る。すでに本プロジェクトに加え、シェア保育園などを含む国内6つと海外2つのプロジェクトの運用が始まっている。

 課題はプロジェクトの組成だろう。不動産は文字通りその場所にあるもの。やはり投資対象である仮想通貨などとは、その点が大きく異なる。クラウドリアルティの塗矢眞介取締役CFOは「地域の人たちと密接につながり合う必要があり、クラウドファンディングといえどもスマートさはない。地に足のついた関係性構築が重要になってくる」と話す。

 具体的なファンドのスキームは以下の通りだ。本プロジェクトでは、3年程度の運用し、期中分配をしながら、不動産購入者に売却をし、その分配金と出資金を出資者へ還元する。

ファンドのスキーム(クラウドリアルティのWebサイトより)
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