NHKで2017年7月30日から9月17日まで合計8回にわたって放送された海外歴史ドラマ『女王ヴィクトリア 愛に生きる』をご覧になっただろうか。
62年間の在位期間を誇り、大英帝国の全盛期を象徴するヴィクトリア女王(1819~1901年)を主人公にした歴史ドラマで、即位してからの最初の4年間を描いたものであった。
ヴィクトリア女王が1837年に即位した当時は、まだ18歳。最初は文字通り初々しかったわけだが、王位継承をめぐる諸問題のまっただなかの即位であり、最初4年間の治世は薄氷を踏むような状態であったことが、ドラマでは手に取るように伝わってきた。
ヴィクトリア女王というと「立憲君主」の鑑(かがみ)のように見なされている。だが、議会制民主主義の先進国である英国においても、女王(=国王)と議会との関係は、最初から現在のような姿に落ち着いていたわけではない。議会との関係もまた一筋縄にいくものではなかったのだ。
だが今回はそういった政治がらみの話題ではなく、このドラマを題材にして、もっとソフトな話題について取り上げてみたい。
「ロールモデル」としてのアルバート公
女性の視聴者であれば、同じ女性として主人公のヴィクトリア女王に感情移入したことだろう。そしてまた、ドラマでアルバート公を演じていた男優にも注目したのではないか。ドイツの小国出身のアルバート公は、実際に残っているポートレートを見てもイケメンであった。ヴィクトリア女王の一目惚れであったらしい。