6月8日に実施された英国の「総選挙」の結果、テリーザ・メイ首相率いる与党の保守党が過半数割れし、野党第一党の労働党が躍進するという結果になった。いわゆる「ハング・パーラメント」(宙づり議会)状態となったのである。
メイ首相は、「連合王国」(UK)の一角を占める北アイルランドの保守政党「民主統一党」(DUP)と閣外協力によってなんとか過半数を維持し、新政権に望むこととなった。
総選挙を前倒しに実施するという賭けに打って出たメイ首相だったが、過半数を獲得できなかったことで、その求心力は大幅に低下したと言ってよい。
保守党であれ、労働党であれ、「ブレグジット」(EU離脱)は既定路線であり、その方針に違いがあるわけではない。それが昨年の「国民投票」で示された「民意」だからだ。だが、メイ首相が主張してきた「ハードブレグジット」(強硬離脱)は軌道修正を迫られるだろう。
若者の不満の受け皿となった労働党
では、今回の総選挙で、なぜ保守党は過半数割れしたのだろうか。
ここで注目しなくてはならないのは、「格差問題」に対する英国内の不満、とくに若年層の不満が想像以上に高まっていることだ。この不満の受け皿となったのが労働党であり、保守党のメイ首相は「民意」を正確に読めていなかったということになる。