学校の「歴史」の授業について提案がある。古い時代から時系列で教えるのではなく、現代から過去にさかのぼって「逆回し」で教えてみたらどうだろうか。そのほうが教わる側は自分と歴史との関わりを強く意識することができ、ずっと理解が進むと思うのだ。
筆者は5月18日、『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)というタイトルの書籍を出版した。2017年の現時点から出発し、「逆回し」で240年前の1776年までさかのぼる。いわば「逆走する近現代史」と言ってもいい内容の歴史書になっている。
本書はビジネスパーソンに向けて執筆したものだが、ビジネスパーソンでも学生でも、歴史をさかのぼって捉えることの意義と効果は極めて大きい。逆回しで歴史を眺めると、現代がどんな時代なのか、世界でいま何が起きているのかが実によく分かるからだ。以下では、その例を挙げてみよう。
衝撃的だった英国民の選択
英国が、国民投票で「ありえない」はずだった「EU離脱」を選択したのは2016年6月23日のことだった。早いもので、あれからすでに1年が経とうとしている。6月8日に下院の総選挙が前倒しで実施される。
EU(=欧州連合)からの「離脱」を指して「ブレグジット(Brexit)」というが、その表現は日本でもすっかり定着した。
同じく2016年の11月には、米国で「ありえない」候補のはずだった不動産王のドナルド・トランプが大統領に選出された。