朝鮮戦争を引き起こしたのは誰か?
忘れてはいけない。朝鮮戦争を引き起こした張本人は、北朝鮮の金日成である。
朝鮮半島は、第2次大戦末期に、対日参戦の目的で満州から朝鮮半島に入ったソ連赤軍によって北半分を占領された。その急進撃に触発された米軍は、沖縄から軍を進め仁川に上陸して朝鮮半島の南半分を占領した。
その後、1948年8月に米国の影響下で大韓民国(韓国)が建国されたのに対抗して、同年9月、占領中のソ連赤軍の強い指導により、「傀儡国家」として朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)がつくられた。
北朝鮮の憲法、立法・行政・司法制度、朝鮮労働党による一党独裁の政治制度、軍事機構、治安機関などの国家機構は、すべてソ連体制の複製であり、朝鮮民主主義人民共和国という国名もロシア語からの直訳であった。
そしてソ連は、満州で抗日ゲリラ活動に従事していたソ連赤軍大尉・金日成を北朝鮮の初代指導者に指名した。
全朝鮮に施行されるべきとされた北朝鮮の1948年憲法(朝鮮民主主義人民共和国憲法)は、南北朝鮮の統一を積極的に促進するという政治目標を掲げ、北朝鮮体制を南朝鮮に拡大させる、いわゆる「赤化革命」を正当化するものであった。
それが、「北朝鮮の野心的な指導者」と見られていた金日成の企てによって、ソ連のスターリンと中国の毛沢東を動かし、ソ中ともに冒険的な南進武力統一を承認したことから、1950年6月に始まり、1953年7月に休戦となった朝鮮戦争へと突入したのであった。
北朝鮮軍が38度線を越えて仕かけた戦争に対して、国連安保理は北朝鮮の行為を国連憲章違反と非難し即時停戦を求めたが、事態が深刻化したため、米軍を主体とした国連軍の創設が決議された。
国連軍後方司令部(キャンプ座間、2007年に横田飛行場へ移転)が置かれた日本は、その活動を後方から支援した。
なお、国連軍創設決議は、当時、国連の中国代表権(安保理の議席)は中華民国政府(台湾)が有し、そのことに抗議してソ連が安保理の採決をボイコットしたことによって成立したものであった。