霞が関の中からの「内部告発」が増えた。その背景には何があるのか?

 安倍内閣の改造が発表された。首相は記者会見で「国民から大きな不信を招く結果となった。改めて深く反省し、国民の皆さまにおわび申し上げたい」と低姿勢を強調した。その背景には、ここ数カ月の騒動による内閣の求心力低下がある。

 改造内閣は防衛相に小野寺五典氏、文部科学相に林芳正氏など岸田派が4人、外相に河野太郎氏など麻生派が3人も入閣する派閥均衡になった。これは「お友だち」色を薄めたのだろうが、自民党内からそういう催促があったわけだ。第3次安倍内閣の「官邸主導」はこれで終わり、自民党も官僚機構も昔に戻るだろう。

派閥均衡の「低姿勢内閣」

「内閣改造」という言葉は、戦前にはなかった。閣僚を任免するのは天皇の権限だったので「一内閣一閣僚」が当然であり、人事ができないときは内閣総辞職するのが憲政の常道だった。改造を政権の求心力維持に利用するようになったのは、戦後の吉田茂内閣である。

 1年ぐらいで閣僚が交代したのでは政策を覚える時間もないが、官僚主導の政治システムの中ではそれでよかった。それより政治家が選挙区で「**大臣を拝命しました」と売り出せる肩書きが大事なので、派閥ごとに割り振りを決めて各派が推薦し、その中から首相と官房長官が年功序列の「派閥順送り」で決めた。こういう慣例は小泉内閣で廃止されたはずだが、今回の改造ではそれ以前の人事に戻ってしまった。

 今年に入ってからの森友学園や加計学園や防衛省の日報などの問題が内閣を揺るがした背景には、1つの共通点がある。それは「一強」といわれた首相官邸の力を弱め、自民党と官僚の主導権を取り戻すことだ。この結果、内閣支持率が30%を切る事態に発展したが、この奇妙なスキャンダルの原因は何だろうか。