森友学園の幼稚園用地に続いて、今度は加計学園の獣医学部の申請が騒がれている。朝日新聞によると「学園理事長の加計孝太郎氏が安倍晋三首相の長年の友人で、異例のスピードで特区での新設が認められた」のがよくないという。
「総理のご意向」を示す怪文書が出てきて、天下り問題で事務次官を辞職した前川喜平氏が「これは本物だ」と証言した。これは彼が朝日に売り込んだネタらしいが、どこにも違法性はない。民進党がまた騒いでいるが、国会で取り上げるような問題ではない。
「反安倍」の底流にある古い歴史観
こういう些細な話が次々に出てくるのは、朝日新聞の安倍「一強」キャンペーンの一環だろう。朝日は4月には「(1強)第2部・パノプティコンの住人」というシリーズを連載して、失笑を買った。一望監視の「パノプティコン」は空想上の刑務所で、首相官邸とは何の関係もない。
森友学園でも加計学園でも、朝日が問題にしているのは忖度である。「安倍首相は独裁者で、政治家や官僚がその意向を忖度している」という図式らしいが、そのどこが悪いのだろうか。森友学園も加計学園も安倍首相は指示していないが、指示したとしても何の問題もない。
こういう忖度を朝日が問題にする背景には「岸信介の孫がヒトラーのような独裁者になって、彼の意向を忖度する人々が日本を戦前のような軍国主義に導く」という歴史観があるのだろうが、歴史学ではこういう図式は否定されている。
日米開戦を決定した東條英機首相は、小心翼々とした「弱いリーダー」だった。彼が首相になっても、参謀本部は作戦の内容を「軍事機密」と称して教えなかった。東條が陸軍大臣と参謀総長を兼ねたのは独裁者だったからではなく、そうしないと戦争を指導できなかったからだ。