北朝鮮の国民の大多数は、闇市からの収入で生活している――。
北朝鮮国民が金正恩政権と距離を置き、政府の経済統制が空洞化している状況を裏づける珍しい世論調査結果が、このたび米国の民間研究機関から公表された。この調査では、ごく少人数ではあるが北朝鮮国内の住民に直接意見を聞いたという。
脱北者ではない一般国民に聴取
7月24日、米国ワシントンの複数の民間研究機関が結成した北朝鮮研究組織「境界線を越えて」(BP)は、北朝鮮国内で秘密裡に実施したという世論調査の結果を発表した。
BPはワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)や国際経済研究のピーターソン研究所、ブルッキングス研究所、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)などが集まって2016年7月に結成した北朝鮮研究専門の合同調査班である。CSISの朝鮮部長のビクター・チャ氏やピーターソン研究所の朝鮮研究部長のマーカス・ノーランド氏が中心的役割を果たしている。
今回の世論調査は、BPが独自のルートにより北朝鮮内部で合計36人の国民を対象に実施したという。対象となったのは男性20人、女性16人、年齢は28歳から80歳まで、職業は工場労働者、医師、理髪師、手工業など幅広く、地理的にも北朝鮮領内の南北合計8の地方自治体に及んだ。