「哲学や思想って、なんで学ぶ必要があるの?」と疑問に思う人は多い。
歴史の教科書でもわざわざ太字で紹介されているが、いったい何をした人なのかサッパリ。
大学受験で倫理や政治経済を選んだ人なら「ソクラテスは“無知の知”。デカルトは“我思う、故に我あり”」なんてことを暗記したかもしれないけれど、「それがどうした」と思った人は私だけではないはず。
哲学や思想というのは、教養があるところを見せるための箔付けくらいに感じている人は多いのではないだろうか。
しかし私は、哲学や思想というのはビジネスにも直結する、非常に多彩なヒントをくれるものだと考えている。その最たるものは、「常識の破り方」を学べるということだ。
歴史に名を残した哲学者や思想家は、みな、当時の常識とされていることとは全く異なる考え方を提案している。そしてその後、時間をかけてその哲学や思想が新たな常識となって根付いていく。歴史の教科書でわざわざ太字で紹介しているのは、それなりに理由がある。彼らは、過去の常識を破り、新たな常識を作った人たちなのだ。
世界の歴史を変えた“エロ本”
たとえば、14世紀に書かれたボッカッチョの『デカメロン』。著者の名前も著作のタイトルも日本では実におかしみのあるものなので、歴史の教科書でも憶えやすい部類だ。