米国のトランプ政権が発足してから4月末で100日が経った。この100日という日数に特別な意味はないが、トランプ大統領自身は多くの政策を100日以内に着手あるいは実行すると宣言していた。
その中で100日目時点でのトランプ政権の外交政策をみると、当初の予測よりも現実的で伝統的な政策をとっていることがうかがい知れる。日本をはじめ同盟諸国にとってはひとまず安心できる傾向だろう。
トランプ政権のこうした保守主流の外交政策への傾きは、国家安全保障会議(NSC)の最新の人事をみても確認できる。トランプ政権がNSCの枢要ポストに共和党系保守主流の専門家3人を新たに採用したのだ。
3人はいずれも女性で、ジョージ・W・ブッシュ政権の安全保障部門で活躍し成果をあげてきた専門家である。彼女たちの起用は、トランプ政権の対外戦略が保守本流の伝統的な政策にさらに重きを置くようになる予兆だとも言えそうだ。
3人の起用が注目を集める理由
トランプ政権は4月に入って、ブルッキングス研究所 上級研究員のフィオナ・ヒル氏をNSCのロシア・欧州部長に任命した。さらにヘリテージ財団 上級研究員のリサ・カーティス氏をNSCの南アジア・中央アジア部長に任命、そしてスミスリチャードソン財団 上級研究部長のナディア・シャドロウ氏を同戦略研究部長に任命したことを発表した。