経口避妊薬の米発売から50年、誕生までのいきさつと今後の課題

経口避妊薬(写真)についても本文に登場する山本佳奈医師は記事を書いている〔AFPBB News

 新専門医制度の議論が急展開しそうだ。3月9日の参院厚生労働委員会で、塩崎恭久厚労大臣は「必要に応じて、地域医療に従事する医師、地方自治体の首長を含めた場で、日本専門医機構に対して、抜本的な対応を求めていきたい」とコメントした。

 厚労省関係者は「(日本専門医機構が拠り所とする)2013年度の専門医の在り方に関する検討会の報告書を上書きするための審議会を設置する方向で調整が進んでいる」と言う。

 彼らが問題視するのは、プロフェッショナル・オートノミーを錦の御旗に、大学教授たちが独善的に医療制度を変更しようとしていることだ。

 彼らの主張は、「すべての医師は専門医になるべきで、そのためには後期研修が必要。研修の場は大学病院が中心になるべきで、専門医の質を統制するため、統一した基準を儲けねばならない」というものだ。

日本の医療界における伏魔殿

 いずれも大学教授たちの「妄想」で、彼らの主張を支持するエビデンスは希薄だ。

 このような統制は、まさにカルテルと言える。自由主義国家である我が国では独禁法など、様々な法律に抵触する可能性が高い。「プロフェッショナル・オートノミー」とは対極の行為だ。

 こんなメチャクチャが通用したのは、大学教授が密室で議論を進めたからだ。日本専門医機構のホームページをご覧になるとお分かりいただけるが、理事の大部分が大学教授か経験者である。議事内容の詳細は一切公開されていない。

 また、財務諸表が公開されていないので、このような組織に誰がカネを出しているかも分からない。こんな組織に、我が国の医療の将来を左右する巨大な権限を与えてはならない。

 新専門医制度の議論を正常化させるために必要なのは、日本専門医機構の幹部に制度の見直しをお願いする「陳情」ではない。情報開示と公での議論だ。最近、そのような動きが出つつある。

 きっかけは、2月に立谷秀清・相馬市長を中心とした医系市長会が、塩崎厚労大臣や菅義偉官房長官に「中・小規模病院が危機に陥る懸念」および「地方創生に逆行する危険と医師偏在を助長」などの意見を伝えたことだ。

 この動きをいくつかのメディアが報じ、全国の市町村長たちも問題を認識し、専門医制度が政治課題となった。