「横手焼きそば」「甲府鳥もつ煮」・・・。ここ最近、地方に根ざしたご当地食、手頃な値段で楽しめる「B級グルメ」の話題がメディアを賑わしている。
かくいう筆者も拙著『麺食い記者シリーズ』(小学館文庫、双葉文庫)の中でローカル食をふんだんに取り上げ、その魅力に取り憑かれている1人だ。
だが、メディア露出が増加するに伴い、危うい一面も見えてきた。キーワードは「経済効果の落とし穴」である。
「経済効果」は確かに大切だが・・・
2010年9月に神奈川県厚木市で開催された「B-1グランプリ」(第5回)のニュースを目にした読者は多いはず。同大会は2006年の第1回以降、毎年集客数を増やし続け、今や40万人以上を集客する一大人気イベントとなった。
今年、グランプリの栄冠を勝ち取ったのは、山梨県甲府市の市職員有志「みなさまの縁をとりもつ隊」が初出品した「鳥もつ煮」である。
B-1グランプリが注目を集め続けているのは、「ご当地食」というコンテンツだけでなく、同大会で上位入賞を果たしたB級グルメが凄まじい集客力を持っていることだ。
実際、第1、2回を制した「富士宮やきそば」のお膝元、静岡県富士宮市は年間100万人以上の観光客が押し寄せる。今年の覇者、甲府市には大会翌日からファンが集まり、市内の店舗は軒並み行列となったという。
主要メディアには、B-1グランプリがもたらす「経済効果」として、50億~60億円との華々しい見出しが躍った。大会そのものだけでなく、ご当地で実際に観光客が落とすカネ、関連商品やグッズ販売額を集計すれば、波及効果はさらに膨らむのは確実だ。
B-1グランプリは、元々、青森県八戸市の「八戸せんべい汁研究所」がまちおこしを目的に開催を呼びかけたイベントで、その後「B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会」(愛Bリーグ)が発足するに至った。