筆者が訪れた2月初旬のモスクワはマイナス20度を下回る久々のマローズ(極寒)であった。建物のドアを出たとたんに鼻毛が凍る感覚、眼球が凍る(もちろん実際にそんなことはない)のか景色がスローモーションになっていく感覚は懐かしいものがある。
しかし屋外でスマホで通話していると、冷え切ったスマホのバッテリーが突然ゼロになったのには驚いた。人も車もまばらなモスクワ郊外でタクシーが呼べなくなり、テクノロジーの脆弱性を痛感した。
ところで、多くの読者はこうした話を聞くと暗い吹雪の光景を思い浮かべると思うが、実際は冬には珍しい晴天であることが多い。
今回も気持ち良い晴天が数日間続き道路はすっかり乾燥、モスクワ川沿いの歩道ではランニングすらできそうである。いつものモスクワのドロドロの雪道を歩くよりはよっぽどましだと感じるのは筆者だけではあるまい。
平穏続くロシアの政治・経済
冷え込み厳しいのモスクワであったが、国内政治・経済情勢は至って平穏である。
特に政治情勢は目立ったネタもなく、メディア調査会社SCANの調査によると1月中のロシア国内メディアにおける登場回数ではウラジーミル・プーチン大統領(14万7000回)よりもドナルド・トランプ米大統領(20万2000回)の方が登場回数が多かったくらいである。
また経済でも目立ったトピックスはない。前回12月の拙稿で書いたように、国内景気の底打ち感は強まっているし、株式市場は相変わらず好調である。
株式市場についてはCitiが1月31日付の 「The game has changed for Russian equities」と題するリポートでロシア株のウエイト引き上げを推奨している。引き上げ、つまり株価上昇の理由として同社は9つの理由を挙げている。
項目だけ列挙すると、以下の通りである。