英国王位継承順位2位のウィリアム王子が、ケイト・ミドルトン嬢と来年結婚することを発表した。
緊縮財政の英国ではロイヤルウエディングも地味に?
停滞する経済への「ロイヤルウエディング(Royal wedding)効果」も期待されるところであるが、デヴィッド・キャメロン政権が緊縮政策を掲げる昨今の経済状況では、結婚式をド派手に、というわけにはいかないようだ。
絶対王政の施政者ではない現代の英国王室は国民に気を遣わなければならない存在だからである。
ウィリアム王子の母親である「国民のプリンセス」ダイアナ元皇太子妃が交通事故死してからもう13年になる。
悲劇の直後、女王と首相が繰り広げた葛藤を扱ったフィクション『クイーン』(2007)を見ていると、現代の英国王室の置かれた微妙な立場が見て取れ、同情さえ感じるようになる。
映画では、革新政策を掲げ意気上がる若き労働党党首トニー・ブレア首相が、自分よりも左寄りの人権弁護士でもあるシェリー夫人の王権を否定する発言に対し、「国民は、変革は望んでいても共和制にすることまでは考えていない」と反論している。
それが今の英国国民の平均的な王室への見方なのかもしれない。
「Royal wedding効果」が絶大だった1981年のチャールズ皇太子とダイアナ妃のご成婚パレードの盛り上がりを今もご記憶の方は多いと思うが、1947年、エリザベス王女(現女王)のエジンバラ公爵フィリップ・マウントバッテン卿とのご成婚の際も、第2次世界大戦から復興途上の英国は祝賀ムードでいっぱいだった。
その実写フィルムがラストシーンに挿入されているそのものズバリの“Royal wedding”が原題のミュージカル映画『恋愛準決勝戦』(1951)には、そんな英国のムードに押されて独身主義者の主人公たちが結婚へと導かれていく集団催眠状態が描かれている。
この映画で主人公と最後に結ばれる女性を演じたのが、主にテレビで活躍していた女優サラ・チャーチル。映画公開から間もない頃、英国首相に再登板し、エリザベス女王君臨の下、国を統治することになるウィンストン・チャーチルの娘であった。