私もいろいろな企業の人と付き合いがあるが、私の前で「おい」とか「お前」とかいう上司がいる。正直言って、側にいても嫌な気分になる。だが、これを面白がる人間もいるからやりきれない。

 企業は、有益な人材を生かすためにも、真剣にパワハラ対策に乗り出すべきだし、発見すれば厳罰に処すという企業体質を目指すべきであろう。

ある議員の事務所にいた横暴な秘書

 パワハラは企業だけではない。政治家の事務所でもよくみられる光景である。地元事務所で労基法違反やパワハラを週刊誌に暴露された現役の大臣もいる。自民党だけではない。民主党にもそういう事務所があった。

 現在は落選しているが、以前、民主党の衆議院議員の事務所を訪ねた際、その事務所の実質的な筆頭秘書や議員夫人の横暴さにあきれ果てたことがある。2人が揃いも揃って、政治家秘書になったばかりの若者を馬鹿にするのである。筆頭秘書など、応接室にふんぞり返って煙草をプカプカふかしているだけ。そして、若手の秘書に自分の煙草を買いに行かせるのである。それも「おい! 煙草勝ってこい」という調子なのだ。

 ところが、私が事務所を訪ねていくと、まさに揉み手で「先生、先生」というのである。反吐が出るとは、このことだと思った。“強きにひれ伏し、弱気をいじめる”というのが、こういう人物の特徴である。しかも、こういう輩に限って、私がいなくなれば私の悪口を散々言っているのだろうということも容易に推察できたものだ。

 こんな秘書や夫人を制御できない人物が、次の衆院選挙で落選したのは当然であろう。付け加えれば、その人物は昨年の参院選挙にも出馬したが、見事に落選した。

 ブラック企業などという言葉が生まれたのも、長時間の過酷労働やパワハラが以前よりもさらに横行しているからだ。2017年は、「過労死」という言葉も「ブラック企業」という言葉も死語になるような年になってほしいものである。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]