正社員と同じように働いても、そのボーナスが出ないというのは、あまりにも可哀想である。退職金もない。多くのサラリーマンは、退職金があるからマイホームも購入できるのだ。契約社員だと、マイホームの夢もあきらめなければならない。結婚を考えることもできなくなってしまうだろう。

 そういう契約社員が、全国には約300万人も存在している。パートやアルバイトは、もっと多い。同一労働同一賃金と合わせて、ボーナス支給の範囲を大いに拡大してほしいと願う。

目の前で部下に威張り散らす人

 厚生労働省が12月26日、「『過労死等ゼロ』緊急対策」を打ち出した。電通の新入社員高橋まつりさんが過労自殺した問題を受けての対策である。

 高橋さんの場合、実際の残業時間が100時間を超えていたにもかかわらず、労使協定で定められた上限の月70時間ぎりぎりで自己申告させられていた。上司によるパワハラが自殺の一因になったという指摘もある。

「過労死」という言葉は、1988年、全国の弁護士が連携して、「過労死110番」を立ち上げてから使われるようになった。それからすでに30年近くが経っている。だが過労死が減少するどころか、長時間労働もパワハラもますますひどいものになっている。最近も、飲食店で働くアルバイトの学生が、飲食店の店員に、毎日聞くに堪えないような暴言を浴びせられ、暴力までふるわれていたことが判明し、その店員が逮捕されるという事件もあった。

 違法な長時間労働ももちろん悪質だが、パワハラはそれに劣らず悪質である。高橋まつりさんは、母子家庭で育ち、東京大学を卒業して電通に入社している。「東大卒」というプレッシャーもあっただろうし、そこを嫌味たっぷりについてくる上司もいたのではないか。長時間労働とパワハラによって、心身ともに限界に達していたのだと思う。パワハラをした上司は、自分の息子や娘が同じ目あったらどう思うのかじっくり胸に手を当てて考えてもらいたい。