トランプ氏、大番狂わせの勝利 米大統領選

米ニューヨークのニューヨーク・ヒルトン・ミッドタウンでの集会で、当選確実の知らせを受けて演説するドナルド・トランプ氏(2016年11月9日撮影)。(c)AFP/Getty Images/Chip Somodevilla〔AFPBB News

 トランプ氏の大統領選挙での勝利は、データ上は「逆リーマンショック」もしくは「上向きのブラックスワン」と考えられる。まずはこの点について、できる限り簡単に見ていく。

 11月9日は、開票が進んだ東京市場での値動きは非常に大きかったものの、ロンドンやニューヨーク市場は比較的小動きであった。例えば、ドル円相場は東京時間の午前中に1ドル=105.47円の高値を付けた後、お昼前に急落を見せ、午後に入って1ドル=101.20円の安値を付ける。その後、ロンドン市場で値を戻し、ニューヨーク市場での値幅は1ドル=104.17円から105.89円の2円に満たない動きであった。

 現在は24時間取引されているS&P500指数先物もドル円相場と同様の動きであり、11月9日の日中高値と安値の値幅は変化率で見るとプラス6.8%、一方、前日比で見るとプラス1.2%の変化率であった。このプラス6.8%という「日中値幅」はデータをさかのぼることができる1982年4月22日以降で見ると、全9022サンプル中、57番目の大きさである。

 しかし、この「57」のサンプル中には、11月9日のような「大幅上昇もしくは大幅反発」ばかりでなく、1987年10月19日のブラックマンデー当日のような「大幅下落もしくは大幅反落」の日も含む。そのため、「57」のサンプルから、前日から下落した日を取り除くと、「26」になる。

 つまり、この「26」のサンプルは、日中のうちに、景況感を大きく改善させるようなポジティブな材料が表れた日と考えられる。

 ここで、「過剰反応」というマーケットの常に照らして、1つの仮説を立てると、そうした「大幅上昇もしくは大幅反発」の直前には、「大幅下落」が生じていた可能性が考えられる。データはこの仮説を裏付ける。